
NVCを知る ― 理論・プロセス・基本概念
Nonviolent Communicationの理解を深める
このセクションでは、NVC(非暴力コミュニケーション)の基本的な構造と概念を丁寧に学びながら、NVCがもつ哲学的な土台や、具体的な対話のプロセスに親しんでいきます。
私たちはNVCを通して、いのちとつながるコミュニケーションの質や、「共感」という在り方を深く体感することができます。
ここで紹介する内容は、NVCの学びのなかでよく尋ねられる疑問にも触れながら、日々の対話のなかで何をどのように意識するのか ― その道しるべとなるものです。
NVCの基本モデルと構成要素
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NVCモデルの全体像:率直に表現し、共感をもって受けとめる
4つの要素:観察・感情・ニーズ・リクエスト(それぞれの意図と役割)
キリンのダンス:双方向の共感的やりとりの流れ - 4つの耳:困難なメッセージを聴くときの4つの選択肢
- 3つのキリンのリクエスト:つながりのリクエスト、行動のリクエスト、明確さのためのリクエスト
- 相手の怒りや非難、批判を聴くとき
- 「ノー」を伝える
- 「ノー」を聴く
- 外的刺激・内的刺激に対する自己共感
- 後悔から学び、嘆きと共にいる
- 「キリン語で叫ぶ」
- 対話中に割って入るとき
- 感謝を伝える
- 感謝を受け取る
- ニーズに気づき意識的に選択すること
- 誠実なお詫びを伝える
- 内なる葛藤をNVCの対話で扱う
- 「キリンで在ること」 vs. 「キリンをすること」
- キリンの正直さ vs. ジャッカルの正直さ
- 共感 vs. 同情、アドバイス、なぐさめ、物語り
- 守るための力 vs. 罰としての力
- 共にある力(Power with) vs. 支配する力(Power over)
- 承認や賞賛 vs. 感謝・評価の共有
- 選択 vs. 服従や反発
- 観察 vs. 評価をまじえた観察
- 感情 vs. 思考を含む感情表現
- ニーズ vs. 要求
- リクエスト vs. 強要(Demand)
- 刺激 vs. 原因
- 価値判断 vs. 道徳的判断
- 自然な反応 vs. 習慣的な反応
- 相互依存 vs. 依存や独立
- いのちとつながる表現 vs. いのちと切り離された表現
- 譲歩 vs. 妥協
- 粘り強く伝える vs. 強要する
- 自律性 vs. 服従
- 権威への尊重 vs. 権威への恐れ
- 無防備さ vs. 弱さ
- 「愛するという行為」 vs. 「愛されたいというニーズや感情」
- 自己共感 vs. 感情の抑圧・爆発・埋没
- 口語的NVC vs. 古典的(形式的)NVC
- 共感的に察する vs. 知的な推測
NVCのプロセス(実践的応用)
NVCをより深く理解するためのカギとなる識別(KD)
NVCを生きる ― NVCを意識する意図
NVC(非暴力コミュニケーション)を生きるということは、毎瞬、気持ちとニーズへの意識を持ち、心からつながって生きようとする意図を大切にすることです。
この意図は、一人ではなく、仲間とともに育んでいくことで支えられます。たとえば、地域のNVC実践コミュニティに参加したり、関心のあるテーマ(子育て、教育、ビジネス、社会変革など)ごとにオンラインでもつながれる仲間を見つけたり、つくったりすることもできます。
互いのイベントを紹介しあい、スケジュールを調整し、活動を共有しあう――そんな協力的で上下のない関係性のなかで、私たちは学びを深め、NVCが根づいたコミュニティを育てていくことができます。
🕊️ 自分に問いかけてみましょう:
- 今、私はどれだけ「気持ち」と「ニーズ」の意識に根ざしているだろう?
- どれだけ自分自身に共感を向けられているだろう?
- 今この瞬間に、心を置いて生きているだろうか?
- この世界を、どれだけ共感をもって受けとめられているだろう?
- 話すとき、行動するとき、私の内側にどんな意図があるだろう?
- 私の言葉は、相手に伝わりやすく、明確になっているだろうか?
- 周囲の人々と調和のなかで生きているだろうか?
- 他者やいのちとのつながりを、どれだけ深く感じているだろう?
- 心から与える力を、私は育んでいるだろうか?
- 自分自身や他者を、もっとありのままに受けとめられているだろうか?
- 感謝や満たされ感のなかで生きる時間が、どれだけあるだろう?
- 他者のよろこびを、自分のよろこびとして受け取れているだろうか?
- 日々の暮らしに、思いやりを育てているだろうか?
- 話したり行動したりするとき、何を相手から望んでいるかに気づいているだろうか?
- 「キリンの耳を落とした」ことに気づいたとき、私はどうしているだろう?
- 自分のいのちが今、どれだけ生き生きと感じられているだろう?
- 頭の中に入り込み、心から離れてしまっているときに気づけているだろうか?
- 自由を感じながら生きているだろうか?
- 怒りを、誠実に表現する力を育てているだろうか?
- 自分の人生に、明晰さをもって向き合っているだろうか?
- 心の平和とともに在る時間が、どれだけあるだろう?
NVCを分かち合う ― 明確な意図とつながりを持って伝える
このセクションでは、NVCを人と分かち合うときに大切にしたい「明確な意図」「効果的な伝え方」「フィードバックを受けとる柔軟さ」について見つめていきます。
NVCの理論や実践を、他の人の学びのニーズに寄り添いながら伝える力。 そして、ただ“方法”を伝えるのではなく、NVCが大切にしている精神性や在り方そのものを、自分にとって自然で誠実なかたちで体現しながら共有していく姿勢が求められます。
また、NVCのモデル(4つのステップ)だけでなく、その背後にあるNVCが目指すビジョン(つながり・思いやり・いのちの尊重)を明確に区別しながら伝えることも重要です。
加えて、NVCの伝達や活動のなかに、社会的変革や構造的な気づきの視点を含めているかどうかも、深く問われる点です。 NVCの学びの根底には、「個人の変容」と同時に「社会の変容」への貢献という哲学があります。
✏️ 自分への問いかけ(内省のための問い)
- 認定トレーナーとしての意図は、自分にとってどれだけ明確だろうか?
- NVCの概念や理論を、私はどのように示し、伝えているだろうか?
- 人にNVCを教えるとき、私はどれだけ効果的にその学びを支援できているだろう?
- フィードバックを受け取るとき、自分はどれだけ開かれていられるだろうか?
- フィードバックを渡すとき、私はどれだけ思いやりと明晰さをもって関われているだろうか?
- グループの中で、私はどのように共に在り、対話を支えているだろうか?