NVCを知る ― 理論・プロセス・基本概念

Nonviolent Communicationの理解を深める

このセクションでは、NVC(非暴力コミュニケーション)の基本的な構造と概念を丁寧に学びながら、NVCがもつ哲学的な土台や、具体的な対話のプロセスに親しんでいきます。

私たちはNVCを通して、いのちとつながるコミュニケーションの質や、「共感」という在り方を深く体感することができます。

ここで紹介する内容は、NVCの学びのなかでよく尋ねられる疑問にも触れながら、日々の対話のなかで何をどのように意識するのか ― その道しるべとなるものです。

NVCの基本モデルと構成要素

    1. NVCモデルの全体像:率直に表現し、共感をもって受けとめる
      4つの要素:観察・感情・ニーズ・リクエスト(それぞれの意図と役割)
      キリンのダンス:双方向の共感的やりとりの流れ
    2. 4つの耳:困難なメッセージを聴くときの4つの選択肢
    3. 3つのキリンのリクエスト:つながりのリクエスト、行動のリクエスト、明確さのためのリクエスト

    NVCのプロセス(実践的応用)

    1. 相手の怒りや非難、批判を聴くとき
    2. 「ノー」を伝える
    3. 「ノー」を聴く
    4. 外的刺激・内的刺激に対する自己共感
    5. 後悔から学び、嘆きと共にいる
    6. 「キリン語で叫ぶ」
    7. 対話中に割って入るとき
    8. 感謝を伝える
    9. 感謝を受け取る
    10. ニーズに気づき意識的に選択すること
    11. 誠実なお詫びを伝える
    12. 内なる葛藤をNVCの対話で扱う

    NVCをより深く理解するためのカギとなる識別(KD)

    • 「キリンで在ること」 vs. 「キリンをすること」
    • キリンの正直さ vs. ジャッカルの正直さ
    • 共感 vs. 同情、アドバイス、なぐさめ、物語り
    • 守るための力 vs. 罰としての力
    • 共にある力(Power with) vs. 支配する力(Power over)
    • 承認や賞賛 vs. 感謝・評価の共有
    • 選択 vs. 服従や反発
    • 観察 vs. 評価をまじえた観察
    • 感情 vs. 思考を含む感情表現
    • ニーズ vs. 要求
    • リクエスト vs. 強要(Demand)
    • 刺激 vs. 原因
    • 価値判断 vs. 道徳的判断
    • 自然な反応 vs. 習慣的な反応
    • 相互依存 vs. 依存や独立
    • いのちとつながる表現 vs. いのちと切り離された表現
    • 譲歩 vs. 妥協
    • 粘り強く伝える vs. 強要する
    • 自律性 vs. 服従
    • 権威への尊重 vs. 権威への恐れ
    • 無防備さ vs. 弱さ
    • 「愛するという行為」 vs. 「愛されたいというニーズや感情」
    • 自己共感 vs. 感情の抑圧・爆発・埋没
    • 口語的NVC vs. 古典的(形式的)NVC
    • 共感的に察する vs. 知的な推測

NVCを生きる ― NVCを意識する意図

NVC(非暴力コミュニケーション)を生きるということは、毎瞬、気持ちとニーズへの意識を持ち、心からつながって生きようとする意図を大切にすることです。

この意図は、一人ではなく、仲間とともに育んでいくことで支えられます。たとえば、地域のNVC実践コミュニティに参加したり、関心のあるテーマ(子育て、教育、ビジネス、社会変革など)ごとにオンラインでもつながれる仲間を見つけたり、つくったりすることもできます。

互いのイベントを紹介しあい、スケジュールを調整し、活動を共有しあう――そんな協力的で上下のない関係性のなかで、私たちは学びを深め、NVCが根づいたコミュニティを育てていくことができます。

🕊️ 自分に問いかけてみましょう:

  • 今、私はどれだけ「気持ち」と「ニーズ」の意識に根ざしているだろう?
  • どれだけ自分自身に共感を向けられているだろう?
  • 今この瞬間に、心を置いて生きているだろうか?
  • この世界を、どれだけ共感をもって受けとめられているだろう?
  • 話すとき、行動するとき、私の内側にどんな意図があるだろう?
  • 私の言葉は、相手に伝わりやすく、明確になっているだろうか?
  • 周囲の人々と調和のなかで生きているだろうか?
  • 他者やいのちとのつながりを、どれだけ深く感じているだろう?
  • 心から与える力を、私は育んでいるだろうか?
  • 自分自身や他者を、もっとありのままに受けとめられているだろうか?
  • 感謝や満たされ感のなかで生きる時間が、どれだけあるだろう?
  • 他者のよろこびを、自分のよろこびとして受け取れているだろうか?
  • 日々の暮らしに、思いやりを育てているだろうか?
  • 話したり行動したりするとき、何を相手から望んでいるかに気づいているだろうか?
  • 「キリンの耳を落とした」ことに気づいたとき、私はどうしているだろう?
  • 自分のいのちが今、どれだけ生き生きと感じられているだろう?
  • 頭の中に入り込み、心から離れてしまっているときに気づけているだろうか?
  • 自由を感じながら生きているだろうか?
  • 怒りを、誠実に表現する力を育てているだろうか?
  • 自分の人生に、明晰さをもって向き合っているだろうか?
  • 心の平和とともに在る時間が、どれだけあるだろう?