ノー・フォルト・ゾーンの 使い方・遊び方

ノー・フォルト・ゾーンの 使い方・遊び方

ゲームを始めるときは、テーブルや床の上に十分なスペースを確保して、マットを広げましょう。
座り心地のよい位置を見つけて、ゆったりした気持ちで始めてください。
カードとコマは袋から取り出して、マットの手前や脇に並べておきます。
※ カードだけで楽しむ簡易バージョンもあります。

#1 ひとりで遊ぶ – セルフ・エンパシー (自己共感)
「今、自分に何が起きているんだろう?」
そんなふうに、自分の内側を静かに見つめたいときにおすすめの使い方です。
🔧 用意するもの:
- マット 1枚
- カードデッキ 1セット
- コマ 1個
🪄 手順
- 「自分の感情とニーズにつながる」選択カードを、マットの「選択」エリアに置きます。
- 「感情の温度計」を見ながら、今の自分の気持ちの温度感を感じ取り、それを表す場所にコマを置きます。
- 今感じている気持ちにじっくり向き合いながら、ぴったりの感情カードを選び、マットの「感情」のエリアに置きます。
- ニーズカードをゆっくり眺めながら、「今、大切にしたいもの」を表すニーズを1枚選び、「ニーズ」のエリアに置きます。
- マットの上に並んだカードを読み返しながら、心をひらいて感じてみましょう。
- 選んだニーズが、自分にとってどれほど大切かを味わいます。
- 最後に、そのニーズを満たすために自分ができることや、他の人へのお願い(リクエスト)が思い浮かぶかを感じてみましょう。
この流れを繰り返すことで、
あなた自身とあたたかくつながる時間を持つことができます🌿



- #2 他の人に共感する – その人がその場にいないとき
- 「今、あの人はどんな気持ちなんだろう?」
その人が目の前にいなくても、相手の内面に寄り添い、その本質にふれたいときに使える方法です。
このプロセスは、相手と実際に話す前に自分の内側で共感を育てる練習になります。
目の前にいなくても、相手へのあたたかなつながりを感じることができます。
🔧 用意するもの:
マット 1枚
カードデッキ 1セット
コマ 1個

「相手の感情とニーズにつながる」という選択カードをマットの「選択」エリアにおきます。
あなたが想像するその人の気持ちの温度を「感情の温度計」の上にコマをおいて表します。
あなたが想像するその人の気持ちを表す感情のカードをマットの「感情」のエリアに置きます。
ニーズカードを手に取り、あなたが想像するその状況でその人にとって何が大事なのかを表すニーズカードを探しマットの「ニーズ」のエリアに置きます。
あなたが想像するそのニーズがその人にとってどのように大事なのかもしれないということに、心を開いて感じてみます。
その人の実際に感じている感情や大事にしたいニーズは本人に聞いてみなければわかり得ないということを心に留めながら、このプロセスがもたらしてくれることを受けとります。
- #3 ⚫⚪ 白黒思考に気づき、ニーズにつながるために
- 「私は正しい/あの人は間違っている」「〜すべき」「〜する資格はない」……
そんなふうに、白黒はっきりさせたくなる思考にとらわれていると気づいたら、
それは「フォルト・ゾーン(非共感的なエリア)」にいるサインかもしれません。
ここでは、その思考にやさしく気づきながら、ノー・フォルト・ゾーン(共感的なスペース)へと移っていくプロセスをご紹介します。
🔧 用意するもの:
マット 1枚
ニーズカード 1セット
感情カード 1セット
コマ 1個
自分が「白黒で考えている」ことに気づきます。
「あの人は間違ってる」「私はダメだ」など、強い評価や決めつけが浮かんでいるときです。その思考を、やさしくそのまま認識します。
例:
・彼女はバカだ。
・彼はそんなことをすべきじゃなかった。
・私は負け犬だ。「感情の温度計」を見ながら、その思考をしているときの自分の気持ちの温度感をコマで表します。
取り上げた思考をひとつずつ扱います。
自分に問いかけてみましょう:
- この考えを持ったとき、私はどんな気持ちを感じた?
- この状況で、私が本当に大切にしていたニーズは?
- どんなニーズが満たされていない?出てきた感情とニーズを、それぞれのカードから選んでマットの上に置きます。
そして、特に大切にしたいニーズと心からつながる時間を持ちます。さらに、他にも出てくる感情があるか、「私のなかで声をあげようとしているニーズ」が他にもないかに気づいてみます。
最後に、その大切なニーズに応えるために、自分自身にできること、あるいは他の誰かへのリクエストが浮かんでくるかどうかに意識を向けてみましょう。
このプロセスは、「白か黒か」ではなく、“自分の大切な願い(ニーズ)に立ち戻る”ことを助けてくれます。気づきを通して、もう一度自分とつながるやさしい道を歩んでみませんか?
- #4 怒りを感じたときのセルフケア― 話し合いの前に、自分とつながるために ―
- 怒りがこみ上げてくるとき、私たちの内側では「とても大切なこと」が脅かされているサインかもしれません。
このプロセスでは、怒りの奥にある本当のニーズに耳を傾けながら、心の中の嵐を静かにおさめるステップを紹介します。
🔧 用意するもの:
マット 1枚
感情カード 1セット
ニーズカード 1セット
コマ 1個
(オプション)紙とペン

「怒っている」と気づくことから始めます。
ちょっとイライラしてきたな……その小さなサインに意識を向けてみましょう。身体が教えてくれる変化に注目します。
顔が熱くなる/肩がこわばる/あごを噛みしめる…あなたの体は怒りをどう伝えていますか?怒りの裏側にある2つのメッセージに意識を向けます:
① 自分にとって大切なニーズが満たされていない
② そのニーズが無視されそうな行動が起きている今やろうとしていた言葉や行動をいったん止めて、立ち止まります。
深呼吸を数回。
ただ息を整え、今ここに戻ってきましょう。「怒っている」の感情カードを選び、マットの「感情」エリアに置きます。
「〜すべき/してはいけない」という思考に気づきます。
怒りには、評価的な思考(たとえば「彼は○○すべきだ」)が混ざっていることがあります。出てきた「すべき」思考を、そのまま受けとめて書き出すのもおすすめです。
その思考の下にある、本当の感情(悲しみ、傷つき、怖れなど)を感じてみます。
合う感情カードを選んで「感情」のエリアに置きましょう。今の感情の温度を測ってみましょう。
「感情の温度計」にコマを置いて、今の状態を視覚化します。
落ち着いた状態に近づくために、今できることは何ですか?
⚠️ もし感情が大きすぎると感じたら、信頼できる誰かにサポートをお願いするか、
「落ち着いて気がついている」状態になるためのワーク(サイトに紹介あり)を活用してみましょう。出てきた「すべき」思考の下にある本当に大切にしたかったニーズを探ります。
- 「彼は私の話を聞くべきだ」 → 聞いてもらいたかった
- 「彼女は悪口を言うべきじゃない」 → 尊敬を大事にしたかった見つかったニーズに対応するニーズカードを選び、「ニーズ」のエリアに置きます。
カードを1枚ずつ手に取り、そのニーズと静かに1分間、ともに座ります。
そのニーズが、どれほど大切なのかを心で感じてみます。
最後に、そのニーズを満たすためにできることは何か探してみましょう。
自分自身へ、もしくは他の人へのお願い(リクエスト)したいことはどんなことでしょう。
怒りは、あなたの大切なニーズを守ろうとするサインです。
そのエネルギーを「つながり」や「明確さ」につなげるために、このプロセスを活用してみてください。
- #5 感謝とつながり ― ニーズが満たされたときのお祝い
- 誰かの言葉や行動、起こった出来事を思い出して、
「ありがとう」と自然に感じたとき――
その感謝の気持ちには、あなたの中で大切なニーズが満たされたというサインが隠れています。
ここでは、その感謝の瞬間にふれて、つながりとあたたかさをじんわり味わうプロセスをご紹介します。
🔧 用意するもの:
ニーズカード 1セット

感謝の気持ちがあふれた出来事を思い出してみましょう。
どんなことがあったのか、誰がいて、どんなふうに感じたかをゆっくり思い出します。ニーズカードを眺めながら、その出来事で満たされたニーズを表すカードを1枚選び目の前に置きます。
そのニーズが満たされたあたたかさに心を寄せて、じんわりとその感謝の気持ちを味わってみましょう。
喜び・安らぎ・つながりの感覚にひたってみてください。(オプション)
その感謝を、その出来事に関わった誰かへ、あなた自身へ、あるいは人生や宇宙へ心の中で、
または言葉や手紙などで伝えてみましょう。
この「お祝い」は、何かを“良い・悪い”と評価するためではなく、「自分の中のいのちが満たされた瞬間に感謝する」という、深いつながりの体験です。
どうかご自身の感謝の気持ちを、大切にあたためてみてください。
- #6 二人で遊ぶ:共感する ― その人が今ここにいるとき ―
- このプロセスでは、ふたりが向かい合いながら、
それぞれの感情とニーズに耳を傾け、共感とつながりを深めていきます。
やり方は、ふたりの関係性や気分に合わせて、2つの方法から選べます。
🔧 用意するもの:
マット(それぞれ1枚ずつ)
感情カード 2セット
ニーズカード 2セット
選択カード 2セット

「相手の感情とニーズにつながる」選択カードを、それぞれのマットの「選択」のエリアに置きます。
2通りの進め方をご紹介します。
方法1:お互いに自分の感情とニーズを表現する自分のマットの「感情」エリアと「ニーズ」エリアに、
今の自分の気持ちと大切にしていることを表すカードをそれぞれ置きます。
相手も同じように、自分のマットにカードを置きます。
お互いのカードを、声に出して読み合ったり、静かに見つめ合ったりしながら、それぞれの内面の世界に敬意をもって触れていきます。
方法2:それぞれ相手の出している感情カードを眺め、ニーズを推測する
話し手が、今感じている気持ちを表す「感情カード」を、自分のマットの「感情」エリアに置きます。
聞き手は、相手の感情に共感しながら、その感情の奥にあるかもしれないニーズを想像し、対応する「ニーズカード」を選んで、相手のマットの「ニーズ」エリアに差し出します。
そして相手に次のように尋ねます:
「(感情)を感じているのは、(ニーズ)が大切だからですか?」
話し手は、それが合っているか、少しずれているか、あるいはもっとしっくりくるニーズがあるかを感じて、ありのままに答えます。交代するタイミング
一連のプロセスが終わったら、話し手と聞き手を交代します。
同じように、自分の感情やニーズに触れたり、相手の内側に共感を向けたりしていきます。
大切なこと
このプロセスに「正解」はありません。大事なのは、お互いのいのちに耳を傾けること。
わかろうとする気持ち、寄り添いたいという意図が、ふたりの間にあたたかいつながりを育てていきます。
- #7 二人の間の対話― お祝い・問題解決・対立の舵とりに ―
- 何か伝えたいことがあるとき。
お祝いを共有したいときや、問題や対立を乗り越えたいときに、
ノーフォルトゾーンのゲームは、安心して話し合える土台を与えてくれます。
🔧 用意するもの:
マット 2枚(ひとり1枚)
感情カード 2セット
ニーズカード 2セット
選択カード 2セット

テーマを決める
ふたりで、これから話したいことをひとつ選びます。
(例:共有したい出来事、気になっている問題、解決したい対立 など)自己共感の時間
それぞれが、自分のマットとカードを使って、まず自分自身とつながる時間をとります。
「感情の温度計」にコマを置いて、今の気持ちの温度を確認します。
「感情」のエリアに、今感じている気持ちを表すカードを置きます。
「ニーズ」のエリアに、大切にしていることを表すカードを置きます。
※ 詳しいやり方は「自己共感のプロセス」ガイドを参照してください。ふたりとも、相手と話す心の準備ができていると感じたら、
席を交代し、相手のマットを前にして座ります。交互に、相手が置いた「感情」と「ニーズ」のカードを声に出して読みます。
すべて読み終えたら、こう尋ねます:
「これが聞かれたかったこと?」
「他にも聞かれたいことある?」相手のニーズについてもっと理解したいときは、こう聞いてみましょう:
「この○○(ニーズ)について、もう少し聞かせてもらえる?」ふたりとも「理解された」と感じたら、元の場所に戻ります。
新たに気づいたことがあれば、感情カードやニーズカードを今の状態に合わせて差し替えます。
お互いに今、感じていることや、これからどうしたいかを伝え合いましょう。
話し合って、「一緒に何か解決策を考えたい」と合意できたら、
ふたりのマットの上部(ニーズエリア)同士を向かい合わせてぴったりつなげます。
すると、ニーズの黄色い輪ができて、“共通の願い”が目に見えるかたちで現れます。
そして、こう問いかけてみます:
「これらのニーズ全部を大切にするためには、私たちに何ができるかな?」お互いにニーズを満たすための行動案を出し合い、リクエストにして伝えます。
例:
「1週間のあいだ、〇〇してくれるとうれしいんだけど、どうかな?」(具体的に実行可能な行動)
「私は、今夜〇〇してみようと思ってるよ。」
このプロセスは、「話し合う」ことのハードルを下げてくれるだけでなく、お互いの内側を丁寧に感じ合う対話を育みます。
お祝いも、誤解も、すれ違いも。どんなことも「いのちを大切にする会話」につながっていく、そんな体験が生まれるかもしれません。
- #8 ファミリーで使う:家族会議のチェックイン
- 忙しい毎日のなかで、家族みんなが今感じていることや、大切にしたいことを
あたたかく共有する時間を持ってみませんか?
ノーフォルトゾーンのツールは、家族会議のはじまりにピッタリな
“こころのチェックイン”をサポートしてくれます。
🔧 用意するもの(ひとりずつ):
マット 1枚
感情カード 1セット
ニーズカード 1セット
それぞれが、「いま自分に起きていること」「どんな気持ちか」「何を大事にしているか」を感じて、
対応する「感情カード」と「ニーズカード」を選び、自分のマットに置きます。順番に、自分が置いたカードを紹介しながら、
それがどんな体験とつながっているのかを家族に伝えます。
例:
「“わかってもらうこと”が大事で、今日はパパが学校でのことを聞いてくれたから、嬉しかったんだ」
「“安心”が足りなくて、宿題がわからなくて不安で悲しい気持ちなの」チェックインのあと、それぞれが「今日の家族会議で話したいこと」や「お願いしたいこと」を伝えます。
例:
「みんなが私の宿題をどんなふうに手伝ってくれるか、話し合えたらうれしいな」
「最近、寝る時間がバラバラだから、どうしたらいいか一緒に考えたい」
🌱 ポイント
- 一人ひとりが、評価やアドバイスのない空間で自分の気持ちを話せることが大切です。
- 話を聴くときは、「正す」よりも「受けとめる」ことを意識してみましょう。
この“チェックイン”の習慣が、
家族の間に信頼と理解の土台を育ててくれます。
大人も子どもも、お互いの気持ちや大切なことを安心してシェアできる時間になりますように。

自分なりの方法を作ろう!
このゲームにあるマットや カードデッキの使い方はまだまだたくさんあります。 自分自身や他の人のことをよくわかったり、つながるための方法を探してみるのもオススメです。
もっと学ぶ
このゲームについてもっと詳しく知りたい方、より深い体験をしたい方、自分の学校やグループにシェアしたい方、などなどへ、以下のトレーニングを提供しています。
- 個別コーチング
- オンラインコース
- 対面ワークショップ
参考&おすすめの書籍
「既知からの自由」J.クリシュナムルティ著(コスモス・ライブラリー刊)
子供たちとの対話 J.クリシュナムルティ著(平河出版社刊)